デザインの副業が「ハードルが高い」8つの理由

フリーランス

どうもこんにちは。SNSでこのタイトルの内容を投稿するよーって言ったら意外と反応があったので、なんとかギリギリ!当日中に間に合ってれば奇跡的な状態ですが書いております(なぜなら今日は業務が詰まってたからっ

特にこの数年の「副業ブーム」で結構な頻度でSNS上に見かけるのが「副業でデザインをやりたいです」という発言。とてもとてもとてもとてもよく見かけます。
そして、その度にお節介心をくすぐられた業界のベテラン勢が「簡単じゃないよ」と釘を刺すこの風景も見慣れたものになってきました。

なお「簡単じゃないよ」の後ろには「(やるなら大変だけど、もしも本気なら頑張って欲しい)」という応援も込められているのですが、そこはあえて心にしまうことが美徳ともなっており、その美徳には欠片程もセンサーが働かない「儲かりまっせ!」勢が後から「老害ダー!」ブームをぶちまけるところまでが風物詩でしょうか。
もういい加減にしときましょう。

ベテランは、最後のエールまで書いちゃえ。これが正解な気がする。

さて、唐突ですが「デザイナーの副業はハードルが高い」に関して紐解いてゆきます。

理由その1:デザインの仕事=Web制作?

はい、よくありがちなのが「デザイン=Web」に限定されてインプットされている方々。
その方々、今まで「業務としてデザインもしくはWebデザインに関わったこと」がこれまでどのくらいありますか?

ということを一番に聞きたいかも知れません。

副業ということから、おそらく大多数の方は「在宅で」「余暇に」するものを想像しているでしょう。
人によっては「PCを触っているから、ゲームをしているのと変わらない感覚」のように感じている方もいるでしょう。

そういうことから、何故かWeb制作というキーワードが独り歩きを始めています。

じゃあもう一つ聞いてみます。

「Web制作って何?具体的に何をするの?」

そうなんです、ここが最大の問題。
というのが、ほとんど普段この業界に関わっていない人達が「Web制作で副業をしたい」と言い始めた次に行うのが、質問サイト等に「Web制作ってどんなことをするのですか?」と質問する人、または「Webデザイナー講座へのいざないイベント」系に参加してみること、から始まっているようです。

要は「どんな仕事なのかわかっていないが、とりあえずやってみたい」というニュアンスで仕事を請けようという行動だけはし始めることも多いようです。
これらは、どこかの怪しい誘惑「ちょっと作れるようにさえなれば、とにかく受注だけしてしまえばいい!実力は後からついてくる」という、本来の意味を切り貼りしてもっともらしく言った「罠」に見事に引っかかる人が陥るやつであります。

「実力は後からついてくる」自体は間違っていませんが、おそらく本来はこうです。
「会社に入社できれば=正規の道でのスタートを切ることができれば」
つまり、会社に入れる実力がある初心者なら、会社でしごかれているうちに実力が後からついてくる、ってことです。ただし、会社に入ってしまうともう逃げ場は「退職する」しかありません。何が何でも必死で食らいついて勉強することを毎日毎日していかないといけなくなります。実力がついてくるのは当然でしょう。

裏道から行ったとすると、実力がつくほんの一握りの(元からポテンシャルが高かった)人には適用される言葉ですが、大多数は監視の目もない状況だと、そのまま挫折してしまう場合が多いかと。

理由その2:副業自体、ハードルが高い

そもそもが「副業自体のハードルが高い」ということを忘れてはいけません。そうなんです、大体が「本業」ではないからこその「副業」なので、当然ながら「本業より収入は低い」だったり「本業の余暇を使うので時間的にはあまり長時間取り組めない」という性質が、どんな副業にも当てはまってしまいます。

そもそも、本業より長時間働いている時点で、それは副業じゃなく本業になってしまいます(本来の本業が副業に…ややこしい)。

そして、大多数の方は「本業をした当日に副業をする時間を捻出できるのか?」という最大の壁にぶち当たります。

もしもフルタイムでお仕事をしているとすると、勤務日は8時間労働ですね。
朝食昼食夕食を取る時間を、少しゆったり気味にとって全部で2時間とします。
お風呂も入りたいですよね、30分。一人暮らしなら掃除洗濯等も必要だから30分〜1時間?
さらに通勤している場合、もし片道30分なら往復1時間ですし、片道1時間なら往復2時間です。

さて、これらを合計してみましょう。
手早く見積もった場合は11時間くらい。残りは「24時間ー11時間=13時間」です。

ハイ、そこで「13時間もあれば、睡眠を8時間にすれば5時間も余るから楽勝!」とか思ったそこのあなた!そう、あなたです。

それは甘い。

上記はあくまでも他のことをしていない前提でかつかつ秒単位で調整して出てきた場合の「余暇5時間」なのです。
残業が完全にゼロの会社もあるとは思いますが、時に繁忙期で2時間程度の残業をしたとしましょう。これだけで「残り3時間」です。たまに会社帰りに友人と飲みに行くこともあるでしょう。3時間、話しこめば4時間くらいすぐ経っちゃいますよね。他にも、生理現象(トイレ)だったり、ちょっとコーヒータイムだったり、寝る前に動画配信サイトだったりゲームだったりマンガアプリだったりを開いてしまったら、あら不思議。

「余暇ってどこにあったっけ?」

てな状態になります。
なので、副業をしようと思うとそれらの「娯楽を全て犠牲にする」位の気概が必要となるのです。
だからこそ「楽しそう(?)に思えるデザインを副業にしたい」と言い出す方も多いのかもしれませんね。

理由その3:副業を行う時間帯が罠

さて、さらに立ちはだかる壁があります。
そうです「デザインを副業に」と言うからには、デザインの制作をすることになります。

デザインの制作の流れとしては、

  1. 制作物の連絡を頂く
  2. 内容を簡易ヒアリングする
  3. 2を分析して提案書を作成(ここは飛ばす場合もある)
  4. 受注決定したなら契約書(メール等のやり取りでも可)を交わす(※ここで着手金絡みになる場合も)
  5. 納期・制作物に関しての最終納品物の条件等をまとめる
  6. 構成、大枠等を作成する
  7. 実際のデザインに着手する
  8. 初稿を出して確認して頂く
  9. クライアントに確認してもらって修正箇所等を再度詰める
  10. 「修正する」「確認してもらう」を何度か繰り返す
  11. 「OK」となったら成果物を納品する
  12. 検収してもらい、検収書を受け取る
  13. 請求書を作成して送付する
  14. (後日)請求金額が期日までに入金されたか確認
  15. (場合により)領収書の発行、帳簿付け、データ等を規定に従い保管や処分

はい、これらが一連の流れなんですが。
お気づきですか?

クライアントが会社の場合は例外はあれど多くが「平日の9時〜18時の間が営業時間」ということが大半です。
そう、この時間の間でないと「連絡が取れない」のです。
お客様の要望を聞き取ったり、修正対応したもののお返事などを聞くのも、この時間帯です。

はい、最近は便利になりまして、メールやチャットツールだけで済ませる方もいれば、打合せをZoom等のオンラインミーティングツールを使って行う方もいるでしょう。

た・だ・し。

全部をそれで済ませようとした場合、制作側も別の本業を同じ時間帯で就業していたとするとどうなるでしょう?

当然ながら連絡が取れない人として活動をすることになります。
副業OKの会社であっても「本業の就業時間中には副業活動は禁止」ということも多々あるでしょう。

そして、この制作業界、意外とクライアント様が「直接会って話したい」という場合もあるのです。それができないとなると、それが可能な業者やフリーランスに仕事が行くことになります。

また、制作会社の下請けで仕事を頂く場合はさらに条件が厳しくなります。
制作会社も真夜中中心には稼働していません。大体が週休二日制で平日9時〜18時が営業時間なんです。制作会社は「普通の会社」なのですから当然です。

なので、制作会社の下請けメンバーの条件に「平日昼間の連絡が取れる方」となっているのもしばしば見かけます。
私は20年くらい前から副業で(一時期は完全フリーで)デザインの仕事をやってきましたが、それでもやはり「平日昼間厳守」という求人要件はたくさん見てきましたし、今もわりとまともな会社さんならその条件なんじゃないかなと思います。

理由その4:夜に副業すればよくない?の罠

私のように「ショートスリーパー」の方ならこれを思っていると思います。もちろん、私は昼間フルタイムで仕事をした上で、真夜中にも副業をして・・・という生活を送っていました。

ただ、これにも罠がありまして。
デザインの仕事って、1日単発で終わる仕事って意外と少ない。ってことです。
SNSを見ていると「バナーの仕事だけで月に◯◯万円!」というのをよく見かけますが、おそらくその方が特殊な環境にいるか何かだと思います。少なくとも私を含めて、まわりで本格的なデザインの業務ができる方で、バナーの仕事ばかりで本業超えの収入を得続けている人は見かけたことがありません。

なお、普通にデザインの仕事のイメージだとながければまるまる1年かかるものもありますし、私の主力範囲である紙媒体の冊子なんかだと、普通に初稿上げだけで1週間くらいは連続で仕事をすることになります。全体だと1ヶ月くらいはかかりっきり(複数並行で動かしますが)になりますし、1日に使える時間が少ない副業の方だと特に「初稿を上げるために毎日仕事をすることになる」傾向は強くなるでしょう。

週に2、3日だけで完結できるものの方が少ないと思います。
さらにWebサイトのデザインだとすると、期限までをどのくらいに設定しているか次第でしょうが、複数本を持って動かすにはヘビー過ぎますから、1本に取り掛かるでしょうが、普通でも1ヶ月前後掛かる工程になるので・・・週2、3日、一日3時間程度では1ヶ月で1本上げるのも難しいというボリューム感は持っておいたほうがよさそうかなぁと。(安価なテンプレで仕上げてしまうようなものはあるかも知れませんが、それはこのブログ内では業界の仕事にカウントしてません)

となると、連続夜中に睡眠時間を数時間ずつ削る必要が出てきます。
当然ながら、本業に直結クラスで影響が出てきます。

本当に副業するなら考えるところがたくさんありますね。

なお、私の場合はだいたい「夜中に仕事をしている」のですが、これも特殊な事情が為せる技でありまして。
おそらく、今から始める未経験の方よりは多少、作成するスピードが早いんですよ。

制作は一般的に、クライアントから「当日中に修正してほしい」という依頼がない限り、大体は作業の時間を考慮していただけるので、翌日だったり時間のかかるものは数日待っていただける場合もあります。
で、罠なのですが。

帰宅後にその修正の旨を受け取ったとします。
普通に考えて、あなたが帰宅後ということは、クライアントも帰宅後ってことですよね?
疑問点が出た場合なんかだと、作業の着手は今から返事を出したところで、あなたが次に確認するのは早くて明日の夜の帰宅後、ということになります。

これが「ほんのちょっとの修正で、クライアントとしてはすぐに対応してくれると思いこんでいた」場合を想定しましょう。

1日(昼)クライアントから修正依頼が届く。
1日(夜)夜に確認。少し不明点があり質問メールを飛ばしておいた。
2日(昼)クライアントから質問への返事が届く。
2日(夜)夜に確認。修正できそうなので着手、送っておく。
3日(昼)クライアントが確認。OKなので納品お願いしますの返事。
3日(夜)夜に確認。OKだったので一式を送っておくことにした。
4日(昼)クライアントのところにやっと納品される。

さて、どうでしょうか?
おそらく、昼時間に対応できるタイプのフリーランスの方や制作会社などであれば、これって1日(昼)の段階でそのまま即座に確認して、修正を行って、当日中に終わらせておけた話ではないでしょうか。
しかし、平日働いている人が副業で余暇の時間で対応しようとすると、このくらいのロスが発生してしまいます。

この例では1回だけの話ですが、1件の仕事の間にこの確認やすれ違い等でのやりとりが何回も発生します。その度にロスタイムが発生するということは、数倍以上の時間をかけて仕事をすることにも繋がります。
クライアントから見て、そういう状況になる人にあえて依頼をする理由は何でしょうか?

技術が高いから?納期が早い同程度の人と比べたらどうでしょう?
安いから?早くていつでも連絡できるほんのちょっとだけ高い人がいたらどうでしょう?

ということになるのです。
副業って罠だらけですね。

理由その5:体力と財力はどのくらいある?

なお、体力の話から。

私の場合ですが。「デザインの副業」を20年していたと書きました。
そうなんです、実は「本業もデザイン」なんですよ。あほでしょ?

想像してみてください。

今、別業界にいるそこのあなた、あなたの日常を想像してください。
本業をみっちり8時間頑張ってきました。朝8時に家を出て、残業1時間だけして、帰りにスーパーと本屋にちょっと寄って帰ってきたので21時前。ご飯を食べて、お風呂で少しだけリラックスして、ちょっとだけ気になってたネット動画チャンネルを1本見て、ほら23時です。

そうです、では今(23時)から、さっきまでやってた「本業」に取り掛かりましょう!期限は3時か4時くらいでいかがでしょうか5時間もデザインができるよ(笑

とかいう生活をしていたのです。というより、まだやってますね。
フリーランスになってからの方が昼夜問わずになんか仕事してる気がしますが、本業+副業の頃と、フリーランスの今とでは「社会保険じゃなくなった」以外の変化が全くわかっておりませんくらいのレベルで、なんかしらデザインに関わって息をしています。

生きてる、ではなく息をしていること自体がもうデザインと繋がってるというか(ちょっと意味不明

こういうのに近い感覚でやっていくのが「副業」ってことでもあります。
だからこそデザインの仕事を「副業」としてすることができたし、途中でやめようとも思わなかったし、納期に間に合わせるのが苦痛でもなかったというような状態です。

こんなやつと同じ舞台に立つことになります。楽しそうでしょ?

そして財力の話。

何を言っているのか、今よりちょっとお小遣いがほしいからデザインの副業をするのであって、財力ってどういうこと?って思った方、甘い、甘いです。

まず、デザインをするにはそれなりにお金がかかります。初期投資ですね。
資格職ではないので、資格取得のための講座受講の費用はほとんど必要ありません。
ほとんど、というのは、別に取りたければ民間資格はいくらでもあるので取ればいいというだけですが。

そして、機材類が必要です。
稀に「デザインを副業にしたい」と相談してくる方がいらっしゃいますが、大半が「家族が使っているPC」または「家族の使っていた古いPC」とのこと。元々の用途が「自宅でワード・エクセルを使っていた」とか「ネットを見るため」とかの、ビジネス用途やネット閲覧用途の低スペックの普及品、さらに吊るしモデル。
デザインの仕事をするなら、内容にもよりますがWebのコーディングならギリギリ上記でもできなくはないですが、デザイン自体となるとメモリも上乗せが必要ですし、CPUも心もとない。さらに保存領域が少なすぎて使い物にならず、結局は新しいPCを買うことになります(で、また低予算で買っちゃって使い物になってない人も)。

ついでに業界標準のアプリを入れたいものですが、これもお金がないからと代替品を入れてしまい、今度は教則本や講座がなく自己流ではじめたらそもそも何をするものなのか皆目わかっていないので結局何もせず終わってしまう人もいたりします。

他にも、Webの仕事なら検証機として高額なスマホ類を確認用に最低限何種類か揃える方が良いですし(シミュレーターだけでチェックする人もいますが、高確率でトラブル報告受けて爆死してます)、そういうことを考えていくと、初期投資って意外とかかってくるので、さっくり副業で〜って言ってられない気がしてきます。

あと怖いのがこの業界「納期厳守」は必須の認識なんです。
もしも納期厳守を破ったら、かじっただけの人は聞いて驚かれることも多いのですが、「遅延に関しての損害賠償」なんかが発生することもありえるのです。知らなかったでしょ、納期に遅れただけでも賠償金を払うこともあるって。

PCさえあれば無料アプリで適当に好きに作っちゃえばOK、って思っていたら、納品したものが「要求したものと違う」等でやり直しが続き、そのお陰で最終的に納期が来ても出来上がらず、クライアントはカンカンになって激怒していて、「他社に超特急で依頼し直すのでその費用を負担しろ!」という請求が来た。今までやった分の報酬は支払ってもらえると思ったら「納品してないのに何を言っているのか」とさらに叱られ、一切のお金も払ってもらえないまま、数十万円の請求が届いて納得できない。

これ、実際にあった話しを少しフェイクいれただけのやつなんですが。
あるんですよ実際に。だから、そういうことがないように無理してでも間に合わせる、きちんとしたもので納品する、がデフォルトの世界なんです。

なお、できないのに引き受けた場合、多くのプロは(たとえ事故や病気で自分が動けない「やむを得ない事情」であったとしても)「信頼できる他の同業者に依頼をする」ことを選択肢に入れます。もちろんクライアントには了承を取って、ですが。その上で、はみ出た予算などが出てきた場合は自腹を切って解消させます。
※かなりの信頼関係がある場合、クライアント側が自社で負担しますと言ってくれることもあります。

「ちょっとやってみたい」で飛び込んでいいかどうか、ちょっと考えてみてもいいかも?って思いませんか。

理由その6:必要な周辺知識が多すぎる

「デザイン」自体を仕事とするには「理由その3」で告げた流れの全てを少なくとも把握しているということが前提条件で必要になってきます。その上でデザイン自体の中身です。
ベースは「デザインを作れること」だけではなく、むしろビジネス面での業界の常識に、クライアント側の常識も掛け合わせて持っておく必要があるのがデザイン業界という。実際には他の業界よりもずっとずっと「広く広く」が見えていないとできない仕事ということでもあります。

当然ながら、副業をするならば「税金」についての知識も最低限必要となります。
社員やアルバイト等の直雇用と違う雇用形態が多いのが「デザイン業」でもあるので、本業以外の収入に関しては「確定申告」をする必要があります。SNSでは「青色申告の方が税の面で有利!」なんていうのを見かけて青色に挑戦している人も見かけますが、副業の間は「白色申告」で十分かと思います。

で、よく聞くのが「青色申告は聞いたことがあるけど白色申告って何?」だったり、果ては「確定申告って必要だったの?」とか言っている方。それ、まずいのでちゃんと申告してくださいね。

あと、「20万円以下なら申告不要」っていうのも聞きますがあくまでも「税務署への申告(所得税)」であって「市町村への申告(住民税)」には20万円以下でも必要なので、そこは気をつけましょう。
なお「税務署への確定申告」をした場合は、税務署からそのまま市町村へ収入情報が届いちゃいますので勝手に住民税も上がって徴収されます。ここで、あまりわかってない人は申告書のチェックを忘れて税の徴収を「給与からの天引き」コースになってしまい、会社に副業がバレたりしてややこしくなっていたのがこれまでの話しです。
※副業OKの場合は大丈夫だとは思いますが一応確認はしておいたほうが良いでしょう。

そんな諸々の確定申告(税金)面での知識から、帳簿付けから、何なら業務委託に関しての契約まわりのこと、著作物への著作権まわりのこと、他は一般的なビジネスマナーなど、これらの知識も「制作面での知識」以外も必要になります。

理由その7:どこから仕事が湧いてくるの?

さて、一番しんどいのがこれ。
「理由その3」でも述べましたが、お客様は平日昼間の稼働です。深夜営業の飲み屋なんか以外は、どう頑張っても余暇となる夜中にアポを取ることはできません。

となると、営業はどうしましょう?

実はエージェントというものを使うことができるのですが、大体は「副業の人はNG」だったり、「平日昼間の連絡・作業が可能な方」等の条件がついているので、実際に副業ではエージェントは8割方使えないと思っておいたほうが良いです。

理由その8:勉強し続けられる?

さて。
デザイナーを何年も続けているプロの世界で生き抜いている方々の大半が口にする言葉をご存知でしょうか。

「まだデザインを完全に理解して、極められたというところにたどり着けていない」

っていうセリフ。これ、20年やってる方でも30年やってる方でも、歴がながければ長いほどこの言葉を口に出されます。「まだまだ勉強中ですよ」って。

デザインには正解がない、とはよく言ったもので、実際に「そのクライアントの要求したものにピンポイントで合致するものはあるが、それが必ずしも売上に直結するかどうかはわからないし、逆に売れない場合もある。クライアントが否定したもので売れる場合もある」というのを何度も体験してきている身からすると、「正解はコレ!」と言い切れる人はサイコパスだと思います。

特に、勉強中の人が作ったデザインなんかで、「ちょっと整えた方がきれいに見える」ものなら「ヒントを伝えてその人なりのいいところに持っていく誘導をする」ならわかるものの、なぜか「正解はコレ!ここにこう持ってくるのが良い!色もコレ!これが正解!」ってやってるメンターさんを見ると、あぁサイコパスだなぁ(当人の感性完全無視ってどうなんだろね)とは思ってしまう。

そんなこんなで、勉強して実務に関われば関わるほど、ずっとずっと深い深淵を見てしまうのもこのデザインのお仕事。びっくりするほどスムーズにデザインが浮かび上がって、さらにそれがクライアントのピンポイントに合致することもあれば、徹夜を続けても全然ハマるものが出てこなくて、1件のためにめちゃくちゃ時間を割いたにもかかわらずまだ納得できるものができないスランプ期を体験することもある。

ハイとローが繰り返し来て、その間にもクライアントとの意見の違いや不条理な話が出ないとも限らず、常に調整と整理とデザイン出しを繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し続けていくその中でも、常にアップデートするためにいろんなものを見て体験して勉強して、時には自己投資して学問を身に着けたり色々としながら、おそらくこの仕事を辞めるまではずっと常に「勉強」し続けることがまるで「当たり前のようにできる」というのもデザインを仕事にする人が最終的に持つアイデンティティになっているような気がします。

よりよいものを、より新しいものを、より素晴らしいものを、より誰かが笑顔になれるものを。

こういうのが作れるからこそ、「楽しそうな仕事」「やってよかった仕事」と人からは見られているのでしょう。

でもですね。よく見てほしいんです。
あなたが今本業でやっている仕事、本当に誰のためにもならない仕事ですか?

在宅で仕事をしたいからとデザインを選ぶ人。
本当にあなたの本業の仕事、在宅でできませんか?
もし「やっている人が周りにいない」という場合、それって逆にチャンスじゃないですか?
何をどうしても在宅ではできませんか?やっていないけどできるかもしれません。

とまぁここまで考えられる人なら、最初からめちゃくちゃ遠回りの「デザインを副業に」は選んでないでしょう。特に35歳以上で考えてしまう人。もちろん、できる人もいるでしょう。
ただし、一握りの人だけだと思います。
今後残った自分の人生を、まずは最初の数年間は悲惨な収入で貧しい暮らしになっても、今の生活をぶっ壊してでもどうしてもこの仕事がやりたいんだ!くらいの気概があるなら絶対にあなたは乗り切れると思いますし、そのガッツでまわりの人を巻き込んで良い方向へ導けるでしょう。

でも、「なんとなく今の仕事やめたいから、楽して簡単に稼げそうで、自分にもできそうなデザインでいっかー、PCも持ってるしー」ってくらいなら、ちょっとここに書いたすべてのことをクリアできるかどうかは考えてみた方が良いかもしれません。

副業デザイン、特に今までデザインの世界と無縁だったあなたの場合は、幼少期から絵やデザインや芸術にしか目がいってなくてそのまま美術予備校から美大へ進んでさらにその世界で食っていくために業界に入ってまだまだずっとデザインをしている「デザインオタク達がひしめき合っているプロの世界」に殴り込みをかけるのです。

副業するって、どうでしょう?
結構面倒くさくないですか?
もしかして、本業で頑張ったほうが良いかも?って思う方も出てきたかもしれません。
逆に、余計にデザインを副業にしたい!と思った方もいるかも知れません。
できれば、デザインを副業にしたいと思った方は、副業に収まらずに本業にしようとしてみて頂きたいとは思います。得られるものが格段に違いますし、片手間だと脱落率は数倍から数十倍違います。

ハードルは本当に高いです。
そのハードルを超えるのが面倒だな、あとで挫折しそうだから嫌かも、と思った人は、別の方向を考え直しても良いかもしれません。逆にそのハードルを是非乗り越えたいという人は、全力で突き進んでいってほしいと思います(自己責任で、にはなりますが)。

どちらにせよ、後で後悔しないよう、後悔したとしてもそれで納得できるような選択をしたいものです。

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